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対馬・比田勝 韓国から散歩感覚で行く日本
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 韓国から最も気軽に行ける日本、それが対馬だ。1日1本ある船にのれば、たった1時間30分。同じ日に釜山に戻る船があるから、日帰り旅行も可能だ。当時、ビザの期限切れのため、とにかく一度韓国を出る必要があった私は、同じ境遇にあるバックパッカーの日本男子と一緒に対馬に行ってみることにした。
 対馬行きの船は午前発なので、前日には釜山にいたい。夕方5時に釜山駅で待ち合わせると、彼は風邪をひいたということで死にそうな顔をしている。そんな彼を引き連れ、チャガルチ市場近くのホルモン通りで肉を食い(おばちゃんが我々の身体をやたらさわってきた)、中国人のふりして風俗街を見学し、金がないのでチムジルバン(=韓国式サウナ)で寝た。ひどいハードワークだったが、彼の体調は次の日には何故か良くなっていた。
 朝、フェリーの出る釜山国際旅客ターミナルへ。対馬に行こうとする人々は、ほとんどが釣り人だ。そして日本人らしき人は、間違いなく我々2人しかいない。やがて案内放送が流れ、フェリーというには小さすぎる船に乗りこむ。船はアトラクションかというぐらい揺れ、強引に目をつぶっているとあっという間に対馬に到着。
 そこはどこの国でもありそうな田舎の漁港で、まわりが韓国人ばかりということもあり、ぜんぜん日本という感じがしない。お国の大切な出入国を管理するのにこんな小さな施設で大丈夫かというプレハブのようなイミグレで、周囲の人と比較すれば麻薬でも持っていそうな、明らかに浮いたバックパッカー然の我々は、日本人の職員に「いや、ちょっと、いちど来てみたかったんすよ、あは」などと言いながら旅券を見せたが特におとがめなく通過。パスポートに「HITAKATSU」のスタンプが押されることになった。
 港でぐずぐずしていると、さわがしかった韓国人の一団は観光バスに乗り、あっという間に消えてしまった。我々はとりあえず、人の多そうなエリアを目指して道路沿いにとぼとぼ歩く。商店などがぽつぽつ見え、いよいよ日本らしくなってきた。
 やがて小さな商店街に遭遇。ちょうどお祭りの日だったらしく、ちょっとした出店が立ち、ちゃりんこで走り回る少年、ギター弾き語りをする青年などもいる。道を歩くピープルはまちがいなく日本人で、日本語が飛び交っていることが不思議な感じだ。小さな商店に行って興奮した。そこにあるのは全て、当たり前だが日本の商品だったからだ。我々はきそってお菓子や焼酎、カップラーメンなどを物色。彼は「干し芋が食べたかった」と言って大量に買っている(私もつられて購入)。
 さて、私は何だかんだ言って数ヶ月に1回は日本に帰っていたので、あくまで日本的なスタンスを保っていた、と自覚しているが、中国を放浪した末に韓国に到着、数年ぶりに日本にやってきた彼のテンションが、ちょっとやばかった。郵便局までの道を聞くのも、ただ道だけを聞けば良いのに、わざわざ「やあ僕は韓国から来たんですけどね、ここはいい町ですねえ」などとニコニコしながら外国人ノリで話しかけるものだから、一緒にいる私は気が気ではない。そしたら酒屋のおじさんにほんとに怒られてしまった。「若いのに仕事もしないで何をしておるんだ」ということで、「いや彼は韓国で日本語を教えてるんですよ」とフォローしたが、街のお年寄りが若者を叱り付けるという場面が新鮮でもあった。
 気をとりなおして出航までの3時間、日本の街を満喫した。日本の銀行でお金をおろし、日本の本屋でジャンプを立ち読みし、日本の居酒屋で普通の定食を食べた。彼は焼き魚定食を、私はカラアゲ丼を注文。待っている間、お互いだまってヤンジャンを熟読。出てきた食事はまあ普通の定食だったが、完璧な日本食を久々に食べる我々にとっては、ありえないほど美味で感動しっぱなしだった。
 短い日本滞在時間はあっという間に終わり、と言っても小さい町のことだからこれ以上することもなし、ちょうどいい満足感で港へ戻った。再びイミグレの係員に会うのは若干気まずかったが、相手は日本から出て行く人間には興味がないのだろう、問題なく通過できた。
 韓国からふらっと行ける近さなのに、共通語は日本語、自動車は右側通行、人々は干し芋やカップヌードルシーフード味を食べたい時に食べ、毎週ジャンプを読む、飾り気のない普通の日本がそこにあった。そのことに新鮮な驚きを感じた日本日帰り旅行だった。なお、大量に買った干し芋はすぐカビが生えた。


旅行プラン
■釜山地下鉄1号線中央洞(중앙동/チュンアンドン)などで下車。釜山国際旅客ターミナルまで徒歩10分。
■フェリー1日1便(水・日・隔週木。要確認)。釜山国際旅客ターミナル9時~11時発→(所要1時間30分)→比田勝港着。片道6,500W、往復13,000W(単に2倍)。
■比田勝港周辺を散歩。
■比田勝港、同日13時~16時発→(所要1時間30分)→釜山国際旅客ターミナル着。当時は船に乗る直前に、日本側の港で日本円(当時6500円。レートを考えれば韓国で買うよりも安い)で購入できた。
■月・金・土・隔週木は、釜山→(2時間50分)→厳原に。
■正確な情報は、大亜高速海運 http://www.daea.com/

by simizu2000 | 2006-12-10 23:21 |  >国境アドレナリン
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